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あたしっぴぴっ!
何だか昨日から沢山の夢を見るわ・・・
目を瞑るとまだ黄色かったあたしがガラスケースの中にいるの
いつもみんなで寄り添って温め合っていたのに
いつのまにかケースの中はあたし一人になっていたの
あっあたしの前を通り過ぎて行く人が・・・と思ったら止まった
・・・あたし抱っこされて箱に入れられたの
それがyayoちゃんとの出会いだったわ
何だか「大人のアヒルさんになったら川へ還してあげるね!」などと
言っているけど・・・あたしは野鳥じゃないのよ?w
何もわかってないわね~あたし箱の中でウケてたのよ
ウトウトウトウト・・・
あれ・・・?あたし歩けるじゃない・・・
夜で暗いけどアヒルは鳥目じゃないもんねぇ~畑を探検してくるゎ
ふふふ・・・あたしは小さい頃畑を荒らし捲くったのよ~
ほうれん草最高~っはこべ草最高~っ土だって食べちゃうょっ
道路も渡っちゃえっ!いつも座って眺めていたあっちの畑まで遠出だっ
yayoちゃんが「おいでよぴぴっ!」って言うから、アヒルダッシュもしちゃうわ~
バサバサッ(高くジャンプ)→ダダダダダダダダダダダッ(ダッシュ)
どう?あたしできるでしょ?!yayoちゃんは手を広げて笑って待っているわ
ウトウトウトウト・・・・
あら?桜の花びらがいっぱい
Rockやいなばっち、ヒッチュン、ドナ、コナルド、こまめ、あずき・・・
おかあたちもいる。まだあたしが赤ちゃんアヒルだった頃のアヒルさみっとね
あたし始めてドジョウ食べたのょ~でもね大皿で団体で食べるって
なかなかできなかったの~何気にお嬢様だしねw
シートには人間がいっぱいいるっアヒルペッターが並んでいるゎ
あたしはyayoちゃんと離れたくなくてシートの隅にずっといたのよ
あたしこれでもアヒル見知りするのよっ
何だか体がフワフワする・・・
外が明るくなってきたわ朝がきたのね
隣の琢磨は腹減っているのかしら?くゎくゎ鳴き始めたわ
まったくこの子はあたしの側ばかり寄って来て・・・
あたしはアヒル嫌いだから困るのよ。
初めて会った時はあたしより小さかったのに、
今じゃぁあたしのご飯を横取りなんかしやがって~体も態度もデカくなったゎ
まっ男子アヒルはこの位じゃないとね?だから許してあげてるのっ
あたしは先輩アヒルだからねっ突付き合いも慣れてきたし結構楽しいかも?
でもっまだまだあんたには負けないわょ!
あたしを誰だと思っているの?!最強女アヒルぴぴよっ!
・・・あっyayoちゃんが起きてきた この人の寝坊癖はずっと治らないようね?
ほらっ会社に行くまで時間がないわょっ!
でもね・・・yayoちゃん何だかあたし・・・このまま眠りたい気分なの・・・
どうしてかしら?
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「ぴぴ~琢磨っ!」今朝いつものようにアヒル小屋のシートを開ける
本当にいつもと変わりない朝だった。
「くわぁ~くゎっ」琢磨の声。「・・・」ぴぴの「ゴゴッ~」が聞こえない
「ぴぴはどうした?」
嘴と大羽根を使って移動しようとしている。いつもの事だ
「ぴぴっおはよ~」抱っこしたぴぴは声を出さない
「さてさて~ご飯だよ」ぴぴをご飯入れの前に座らせる
いつもならガツガツ!と勢いよく食べ始めるぴぴなのに・・・?
嘴をご飯入れに付けたままやっとご飯と一緒に入っている水を飲む。
「・・・ぴぴちゃん食べないの?」
琢磨はいつもどおりの食べっぷり。
そんな琢磨に刺激を受けるように食が進むはずなのに
琢磨を眺めているだけで食べようとしない
昨日の晩は食べていた。
いつものようにzoofoodだけ先に食べて野菜は遊び食べをしていた
そして・・・琢磨が近づいてきて、嘴で突っつき喧嘩をしていた
今日は資料作りの仕事がある。会議は月曜日。休めるか・・・?
一緒にいたい、いつものぴぴじゃない。水上先生のところへ行こう。
小屋の掃除を終え、牧草を敷き詰めたいつもの居場所にいるぴぴを見る
水だけ入れたご飯いれに嘴を付けたままこっちを見ている
さっさとご飯を食べてしまった琢磨は水しか入っていない
ぴぴのご飯入れを狙って、ちょっかいを出し始めた
「フーフー」低くかすれた声で怒るぴぴ。
「2001年春のアヒルさみっとに参加したアヒルさんで元気なのはぴぴちゃんだけ?」
アヒル飼いの方からいただいた今年の年賀状に書いてあった文章が頭をかすめる
「ぴぴ?どうしたの?声出ないね」
抱き上げると小さくワサワサと羽ばたいた
抱っこすると私の左脇に嘴をうずめ、安心したのかじっとしている
「ぴぴ~どうした~?」抱っこしたまま揺り籠のように腕を揺らす
ぴぴは薄目を開けてポロっと目から涙をこぼした。
これは涙では無いとわかっているのだけど・・・
もう一度ぴぴの目からポロリとこぼれた
灰色の目には私が写っていた
「どうした?ぴぴ?どうしたんだよっ」
私の声に答えるかのように“ググっ”っと大羽根に力を入れた
・・・腕の中でぴぴが軽くなっていくのがわかる
さっきまで感じられた胸の鼓動は無くなった
ぴぴは死んでしまった
ぴぴを小屋から出して息を引き取るまで30分足らずしか経っていなかった
夜が明け、私が小屋に来るのを待っていたんだ
<北京ダックぴぴ雌 享年6歳9ヶ月>2007.2.16 7:49天国へ
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